【支給限度額を超えたら?】介護保険と自費サービスの違いと使い分け方

生活

支給限度額を超えたら?

親の介護が始まり、制度を使ってみたものの、「こういう部分って頼めないの?」と感じたことはありませんか?

実は、介護保険の支援には“枠”があり、柔軟な対応はなかなか難しいのが現実です。

たとえば「通院に毎回付き添ってほしい」「もっと長時間デイサービスにいてほしい」「日曜・祝日にも来てほしい」といった要望は、介護保険の枠外であることも多く、支給限度額を超えてしまうと、その分の費用はすべて自己負担となります。

そんなときに検討したいのが、「自費サービス(保険外サービス)」の活用です。この記事では、介護保険と自費サービスの違い、そして状況に応じた使い分けの考え方について、できるだけ分かりやすく解説していきます。

介護保険サービスとは?基本をおさらい

介護保険サービスは、要介護(または要支援)認定を受けた高齢者が、自立した生活を送れるように支援する公的制度です。利用できるサービスには、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具のレンタルなどがあります。

ただし、すべてのサービスは要介護度に応じた「支給限度額」の範囲内で提供されます。限度額を超えて利用した分は「全額自己負担」となるため、注意が必要です。

支給限度額を超えるとどうなる?

支給限度額とは、介護保険の給付対象となる月額の上限額です。利用者の負担割合にかかわらず、サービスそのものにかかる費用の上限を意味します。

例:要介護3(支給限度額 約269,000円)

  • 利用合計が300,000円 → 269,000円までが保険給付対象、残り31,000円は全額自己負担

自費サービスとは?介護保険でカバーできないもの

介護保険の枠内では対応できないサービスを補うのが「自費サービス」です。自費サービスは、介護事業者や民間会社が提供し、自由に内容や時間を選べる代わりに、すべて自己負担となります。

自費サービスの具体例

サービス内容自費になる理由利用シーンの例
通院介助(外出付き添い)医療行為ではなく保険対象外病院や銀行への付き添い
掃除・洗濯などの家事全般日常生活支援は限られた範囲でしか保険適用不可大掃除、換気扇掃除、衣替えなど
デイサービスの延長利用保険適用は基本時間帯のみ夕方以降まで預かってほしい場合
夜間や早朝の訪問介護通常の訪問時間帯外のサービス朝5時のトイレ介助、夜間の見守りなど
理美容サービス(訪問)医療・介護行為ではないカットやカラーを自宅でしてもらいたい
特別な食事対応通常の提供食以外は別途オプション減塩食、アレルギー対応食、刻み食など
訪問看護の時間延長医師の指示なく自主的に希望する場合など看護師に長めに滞在してもらいたい

介護保険と自費サービスの使い分け方

では、どのように使い分けを考えればよいのでしょうか?

  • まずは介護保険の範囲内で最大限使う
    → ケアマネジャーと相談して、限度額のなかで生活を支えるプランを立てましょう。
  • それでも足りない部分を「自費」で補う
    → 通院付き添いや家事代行など、家族の負担が大きい部分を無理せず任せるのも手。
  • 家族の介護疲れを防ぐためにも有効活用
    → 仕事・育児・介護のトリプル負担にならないためにも、定期的に「頼る」選択を。

特に40〜50代で、働きながら親の介護を担う人にとっては、制度に縛られすぎず柔軟に考えることが、結果的に長続きする介護につながります。

まとめ

介護保険制度はありがたい仕組みですが、現場では「それだけでは足りない」ことも多くあります。

そんなときに、自費サービスを上手に取り入れることで、介護者の負担を減らし、親の希望にも柔軟に応えることができます。

大切なのは、「制度に合わせる介護」ではなく、「家族にとって無理のない介護」を選ぶこと。支給限度額を超えそうなときや、「ここだけ何とかならないかな」と思ったときは、自費サービスという選択肢を思い出してみてください。